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骨形成:骨形成は脂肪細胞形成を抑制する幹細胞転写因子ネットワークの働きに依存している

Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0359-1

間葉系幹細胞(間葉系間質細胞;MSC)は中胚葉由来の多能性細胞であり、さまざまな器官で組織の再生および恒常性維持に関与している。本研究では、ヒトMSCの骨芽細胞または脂肪細胞への分化に伴う転写およびエピゲノムの変化について、包括的な解析を行った。脂肪細胞への分化がクロマチンの全体の構造の顕著なリモデリングとエンハンサーの新規活性化を通じて引き起こされるのに対して、骨芽細胞への分化にはすでに準備状態にあるエンハンサーの活性化が関わっていることが明らかとなった。機械学習アルゴリズムを使用した転写制御のin silicoモデル化により、骨芽細胞への分化を促進し脂肪細胞への分化を抑制する転写因子群の、大規模で複雑な転写ネットワークを同定した。興味深いことに、これらの転写因子が結合する配列モチーフは、ヒトの骨形成や脂肪細胞形成に関連を有するSNPを多く含んでいる。また、いずれの方向への分化もネットワーク内の1つの転写因子をノックダウンしただけで影響が現れたことから、分化方向の決定は数多くの転写因子の活性の微妙なバランスによるものであることが示唆される。

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