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光合成:ゲノム規模の藻変異ライブラリーと機能的スクリーニングにより真核生物の光合成に必要な遺伝子が同定される

Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0370-6

光合成生物は地球上のほぼ全ての生物に食物とエネルギーを供給しているが、それら光合成生物が持つタンパク質コード遺伝子の半数は、まだ特徴付けられていない。これらの遺伝子の特徴分析は、新たな単細胞生物遺伝リソースによって急速に進む可能性がある。我々は単細胞藻Chlamydomonas reinhardtiiについて、マッピングされた挿入変異のインデックス付き全ゲノムライブラリーを作成した。このライブラリーに含まれる6万2389の変異は、タンパク質をコードした核遺伝子の83%をカバーしており、利用したいという研究者には提供している。このライブラリーに含まれる各変異はそれぞれ特有のDNAバーコードを有しており、それを利用して変異コレクションをスクリーニングすることが可能である。我々は、光合成に必要な遺伝子のスクリーニングをゲノム規模で行い、303個の候補遺伝子を得た。この候補遺伝子の1つで、脱リン酸化酵素をコードしていると予想される保存された遺伝子CPL3の特徴を解析したところ、CPL3が複数の光合成タンパク質複合体の蓄積のために重要であることが明らかになった。注目すべきことに、機能推定の信頼度が高い43の遺伝子のうち21の遺伝子がこれまでに知られていない遺伝子であり、光合成という生物地球化学的に基本的な機構の理解を進歩させる新たな機会を提供することになった。このライブラリーにより、藻類および動植物の何千もの遺伝子の特徴付けが加速されるであろう。

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