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ワタ:ワタ栽培種Gossypium barbadenseとGossypium hirsutumのゲノムアセンブリーが異質四倍体ワタの起源と進化を解き明かす
Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0371-5
異質四倍体であるワタは、世界の経済にとって重要な天然繊維を作り出す作物である。Gossypium hirsutum L.に倍数体化が起こると、この種は、高品質の繊維を産生するGossypium barbadenseと比較して、繊維収量が多く、厳しい環境でも生き残れるような進化を遂げた。この種間分岐の地球規模での遺伝学的基礎と分子生物学的基礎はこれまで不明であった。本論文では、これら2種の異質四倍体栽培種ワタについて、特に反復配列に富むセントロメア領域のアセンブリーが顕著に改善された、高品質なde novoゲノムアセンブリーを報告する。全ゲノム比較解析を行ったところ、遺伝子発現、ゲノムの構造的多様性、および拡大した遺伝子ファミリーにおける種特異的な変化が、これら2種の種分化や進化をもたらしたことが明らかとなった。これらの知見は、ワタゲノムの進化と栽培化の歴史の解明に役立つであろう。本研究によってもたらされた情報は、育種家がワタの繊維品質を高めたり、変化し続ける環境条件へのワタの適応能力を高めたりすることを可能にする。さらに、この情報を他の作物に応用することにより、その栽培化の歴史への理解を深め、品種改良に役立てることも可能となろう。