Technical Report

がんゲノミクス:臨床試料における相同組換え欠損の変異シグネチャーを検出する

Nature Genetics 51, 5 doi: 10.1038/s41588-019-0390-2

BRCA1および/あるいはBRCA2BRCA1/2)の変異は、相同組換え(HR)DNA修復経路の欠損を示す最も一般的な指標である。しかし、最近のゲノムワイド解析では、BRCA1/2変異型腫瘍で見られるのと同様の変異パターンが、他の複数の腫瘍でも見られることが明らかになっている。今回我々は、Signature Multivariate Analysis(SigMA)という新たな計算ツールを紹介する。SigMAを用いると、標的とする遺伝子パネルからHR欠損と関連した変異シグネチャーを正確に検出することができる。これまでの手法では、全ゲノムあるいは全エキソームのデータが必要であったが、SigMAは、尤度測定と機械学習技術を組み合わせて用いることで、少ない変異数からでもHR欠損シグネチャーを検出できる。SigMAによりHR欠損が確認された細胞株は、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)に対して著しい応答を示した。HR欠損が認められた卵巣がんの患者では、プラチナ療法により全生存期間が有意に延長した。我々の方法は、パネルを用いた変異シグネチャーの特定を可能にすることで、HR欠損を標的とする治療の対象となり得る患者数を大幅に増加させるものである。

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