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卵巣がん:高悪性度漿液性上皮性卵巣がんのトランスクリプトームワイド関連研究から明らかになった、新たな感受性遺伝子とスプライシングバリアント
Nature Genetics 51, 5 doi: 10.1038/s41588-019-0395-x
今回我々は、高悪性度漿液性上皮性卵巣がん(HGSOC)に対する感受性遺伝子を特定する試みとして、HGSOCに関連した組織タイプ(N = 2,169)と、利用可能な最大のHGSOCゲノムワイド関連研究(症例群N = 13,037、対照群N = 40,941)に対して、遺伝子発現とスプライス部位利用についてのトランスクリプトームワイド関連研究を行った。このトランスクリプトームワイド関連研究では、有意な関連を示した25の遺伝子が同定された。そのうち7つはスプライス部位レベルでのみの比較であり、19q21.32のLRRC46(P = 1 × 10−9)、8q21のCHMP4C(P = 2 × 10−11)、15q26のPRC1のスプライス部位(P = 7 × 10−9)が含まれていた。CHMP4Cに対するin vitroアッセイでは、HGSOC関連バリアントが対立遺伝子特異的なエキソンインクルージョンを誘導することが分かった(P = 0.0024)。HGSOC細胞株における機能スクリーニングでは、我々が見いだした新たな3つの遺伝子(HAUS6、KANSL1およびPRC1)が必須の遺伝子であることを示す証拠が得られた(特にPRC1はMYCと同等である)。ゲノムワイド関連研究で関連が見つかった13領域のうちの6つからは、それぞれ少なくとも1つの標的遺伝子が見つかり、23の新たなHGSOC感受性遺伝子候補を特定することができた。