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精神疾患:神経精神医学的形質の基盤にある遺伝学的機構の多組織トランスクリプトーム解析による同定

Nature Genetics 51, 6 doi: 10.1038/s41588-019-0409-8

精神疾患の遺伝学的基盤は、主に非コード領域に位置する効果の小さな多数のバリアントによって特徴付けられ、このことは疾患の根底にある因果効果が遺伝子発現を調節することで疾患リスクに影響を及ぼしている可能性を示唆している。本研究では、精神疾患における脳、神経内分泌因子(副腎)、腸管系(結腸)の役割について病態生理学的な知見を得るために、前例のない規模の組織コレクションからのトランスクリプトームデータを使用して包括的な解析を行った。各組織についてPrediXcan解析を実施し、統合失調症(関連の総数 = 499、独立した遺伝子の数 = 275)、双極性障害(それぞれ17、13)、注意欠如・多動性障害(それぞれ19、12)、広義の抑うつ障害(それぞれ41、31)の形質関連遺伝子を見いだした。重要なことに、PrediXcan解析とSMR(summary-data-based Mendelian randomization)/HEIDI(heterogeneity in dependent instruments)解析のいずれにおいても、脳以外の組織から原因遺伝子候補が検出されており、精神疾患の遺伝的素因のマッピングにおけるこれらの組織の有用性を示している。また、関連遺伝子の76%が採取困難な組織のみから検出されたことは、多種類の組織を組み合わせたアプローチの重要性を強調している。

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