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転写調節:X不活性化中心での2つのTADの編成が発生におけるTsixとXistへの逆方向の調節を確保する
Nature Genetics 51, 6 doi: 10.1038/s41588-019-0412-0
マウスのX不活性化中心(Xic)座位は、ゲノム構造と遺伝子調節の間の関係を解明するときに使える強力なモデルであり、その非コード遺伝子であるXistとTsixは、発生において相反する発現パターンを示し、重なり合うセンス/アンチセンス単位として構成されている。このXicは、2つのトポロジカル関連ドメイン(topologically associating domain;TAD)に分かれて存在しているが、シス調節の情報を統合する上でのこの構造の役割は分かっていない。これについて調べるために、Xist/Tsix転写単位を交換して、それぞれのTADに相手のプロモーターを配置させるというゲノム逆位を作製した。こうすることで、発現の状態の切り替えにつながった。つまり、Xistの発現は、雄と雌の両方の多能性細胞において早期に異所性に上昇したのに対し、Tsixの発現は、分化過程において異常に持続した。従って、Xicのトポロジーの分割は、発生においてX不活性化の適切なタイミングを確保するために重要であることが明らかになった。我々の研究は、シス調節のゲノム構造の状況が、哺乳類の発生過程の調節に影響を及ぼし得る仕組みを示している。