Letter

精神疾患:ゲノムワイド関連解析によって神経性無食欲症の8カ所の発症リスク座位を特定し、代謝性の要因と精神科的要因の両方の関与を明らかにした

Nature Genetics 51, 8 doi: 10.1038/s41588-019-0439-2

BMI(ボディーマス指数)の低さを主たる特徴とする神経性無食欲症は、複合的な要因による重篤な疾患で、女性の0.9〜4%、男性の0.3%が罹患し、双生児研究による遺伝率は50〜60%である。死亡率は他の精神疾患よりも高く、治療結果は容認できないほど悪い。本論文では、Anorexia Nervosa Genetics Initiative(ANGI;神経性無食欲症遺伝学イニシアチブ)とEating Disorders Working Group of the Psychiatric Genomics Consortium(PGC-ED;精神疾患ゲノミクスコンソーシアム摂食障害ワーキンググループ)のデータを統合し、神経性無食欲症患者1万6992名と対照被験者5万5525名についてゲノムワイド関連解析を行い、統計学的に有意な座位(ゲノム領域)を8カ所特定した。神経性無食欲症の遺伝的基盤はその臨床症状に反映されており、BMIに関連する高頻度バリアントの影響とは別に、精神疾患、身体的活動性、代謝関連形質(血糖、脂質、身体計測など)との有意な遺伝的関連を示した。上記の結果は、神経性無食欲症が、代謝と精神症状の両方に関連する疾患であるという考え方を後押しするものである。代謝に関連する要素の解明が将来の研究の方向性として必須であり、精神科的要因と代謝性の要因の両方に注目することが、最終的な治療結果を改善するカギである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度