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神経変性疾患:ロングリードシークエンスで見つかった神経核内封入体病を惹起するNOTCH2NLC内のGGC反復配列の伸長
Nature Genetics 51, 8 doi: 10.1038/s41588-019-0459-y
神経核内封入体病(NIID)は、神経組織の細胞と体細胞において、エオジン好性に染色される硝子様の核内封入体が認められることを特徴とする、進行性の神経変性疾患である。NIIDでは多様な臨床症状が認められるために生前診断が難しかったが、近年、皮膚生検による生前診断が可能になった。これまでに診断されている約140例のNIID患者(多くは孤発性だが、複数の家族性症例も含む)における平均発症年齢は、59.7歳である。我々は、複数の発症者を含むNIID大家系(家系1)の連鎖マッピングにより、1p22.1–q21.3に58.1 Mbの連鎖領域を特定しており、そのLODスコアの最大値は4.21だった。我々は、ロングリードシークエンスを行い、家系内の発症者全員においてNOTCH2NLC(Notch 2 N-terminal like C)の5′領域にGGC反復配列伸長を見いだした。さらに、8つの無関係なNIID家系と40症例の孤発性NIIDにおいても同様の伸長が見つかった。また、患者の繊維芽細胞では異常なアンチセンス転写産物が見られたが、非患者では見られなかった。この研究は、ゲノムのセグメント重複により進化した、ヒト特異的な遺伝子であるNOTCH2NLCの反復配列伸長が、ヒトの疾患の原因となることを明らかにしている。