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ゲノムの三次元構造:高度に再編成された染色体からゲノムのトポロジーと遺伝子発現が切り離されていることが明らかになった
Nature Genetics 51, 8 doi: 10.1038/s41588-019-0462-3
クロマチンのトポロジーは遺伝子発現と複雑に結び付いているが、その機能に必要な条件は明らかになっていない。本論文では、ショウジョウバエ(Drosophila)ゲノムの約75%を含む高度に再編成された染色体(バランサー染色体)を用いて、ゲノムのトポロジーと遺伝子発現の間の相互作用を包括的に調べた。トランスヘテロ接合体(バランサー/野生型)胚を用いて、トポロジーと遺伝子発現の近位性の対立遺伝子特異的変化を測定した(この際、遠位性の影響は最小限に抑えた)。ゲノム塩基配列決定により、8つの大きな入れ子構造の逆位、より小さな逆位、重複、数千の欠失が明らかになった。これらの広範な再編成は、クロマチンのトポロジーに多くの変化を引き起こし、長距離ループ、トポロジカルドメイン(TAD;topologically associating domains)、プロモーター相互作用を破壊するが、これらから発現の変化は予測できなかった。遺伝子発現は一般的に逆位の切断点の周囲では変化しないことから、不適切なエンハンサー–プロモーター活性化がまれな事象であることが示された。同様に、TADのシャッフリングあるいは融合、TAD内接点の変化、長距離のTAD間ループの破壊は、大多数の遺伝子の発現を変化させない。我々の結果から、クロマチンのトポロジー以外の特性が生産的なエンハンサー–プロモーター相互作用を保証すると考えられる。