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ゲノムの三次元構造:Sox9–Kcnj2座位の機能の解明により、TAD構造は必須ではないが指示的な役割を果たすことが明らかになった

Nature Genetics 51, 8 doi: 10.1038/s41588-019-0466-z

ゲノムは、コヒーシンとDNA結合因子CTCFの協調的な作用に依存する過程を介して、トポロジカルドメイン(TAD;topologically associating domain)と呼ばれる三次元単位に編成される。TADによるゲノム再編成は、遺伝子の誤発現や疾患を引き起こすことが示されているが、CTCFをゲノム全体で除去しても転写に劇的な影響はないことが報告されている。本論文では、in vivoのマウス肢芽においてSox9–Kcnj2座位でのTAD機能を調べた。TAD境界やTAD内の全ての主要なCTCF部位を除去すると、隣接するTAD間の融合が引き起こされたが、遺伝子発現に大きな影響はないことが分かった。しかし、逆位や境界の再配置を介して調節活性が指示し直され、その結果、遺伝子の誤発現や疾患表現型がもたらされた。従って、TAD構造はロバスト性と正確性を与えるが、発生遺伝子の調節に必須のものではないと結論される。疾患関連遺伝子の異常な活性化は、単なる隔離の喪失によって引き起こされるのではなく、CTCF依存性のエンハンサー–プロモーター接触が指示し直されることが必要とされるのである。

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