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乳がん:150か所の乳がんリスク領域のファインマッピングによって、標的となりそうな191個の遺伝子が同定された
Nature Genetics 52, 1 doi: 10.1038/s41588-019-0537-1
ゲノムワイド関連研究によって、150か所以上のゲノム領域中に乳がんリスクバリアントが同定されていたが、リスクの背景となるメカニズムは大部分が不明なままである。それらの領域について、関連解析と、ゲノムの特徴のin silicoアノテーションを組み合わせて探究を行った。その結果、我々は、205の独立したリスク関連シグナルを同定し、個々のシグナル中に、確からしい原因バリアントが複数存在していることを見つけた。並行して我々は、ベイズ法(PAINTOR)を用いた方法によって、遺伝的関連と連鎖不平衡、エンリッチメント解析で得られたゲノムの特徴を総合し、原因であるという高い事後確率を持つバリアントを決定した。原因バリアントと予想されるものは、活性のある遺伝子制御領域と転写調節因子結合部位に有意に過剰に出現していた。我々は、INQUSITパイプラインを適用し、遺伝子発現(発現量的形質座位:eQTL)やクロマチン相互作用、機能アノテーションの結果を用いて、それらの潜在的原因バリアントの標的となる遺伝子の優先順位付けを行った。その結果、既知のがんドライバーや転写因子に加えて、発生やアポトーシス、免疫系やDNA損傷チェックポイントといった遺伝子オントロジー経路中の遺伝子が、最も信頼度の高い標的遺伝子群に過剰に見られることが分かった。