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環状DNA:染色体外環状DNAは神経芽腫において発がん性のゲノムリモデリングを促す
Nature Genetics 52, 1 doi: 10.1038/s41588-019-0547-z
染色体外でのDNA環状化は、がんで見られる重要なゲノムの特徴である。しかし、染色体外環状DNAの構造、構成、ゲノム規模での頻度に関する大規模なプロファイリングは、まだ実施されていない。今回我々は、ゲノミクス的手法とトランスクリプトミクス的手法を組み合わせて、神経芽腫(小児期に交感神経系の未成熟細胞から生じる腫瘍)における染色体外環状DNAの全体像について報告する。我々の解析により、体細胞系列で獲得された染色体外環状DNAについて、これまでに未記載のものを大規模にリストし、それらの特徴づけを行った。さらに、予期せぬことに、染色体外環状DNAは体細胞で起こるゲノム再編成の主要な供給源であり、その結果、キメラ環状化と環状DNAの直鎖状ゲノムへの再挿入を介した発がんリモデリングに寄与することが分かった。がんの原因となるゲノムの損傷は、環状DNAによって生じるゲノム再編成から生じる可能性があり、有害な臨床転帰を伴う。環状DNA由来の再編成は、進行中の変異原性過程である可能性が非常に高い。すなわち、染色体外環状DNAは、マルチヒットの変異原性過程であり、がんにおけるゲノムリモデリングの起源に対して機能的および臨床的に重要な意味を持つ。