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RNA修飾:N6-メチルアデノシンはヒト細胞においてRNA:DNAハイブリッドの安定性を調節する
Nature Genetics 52, 1 doi: 10.1038/s41588-019-0549-x
Rループは、RNA:DNAハイブリッドと、対形成していない一本鎖DNAによって形成される核酸構造で、哺乳類細胞ではゲノム不安定性の原因となる。本論文では、メッセンジャーRNA(mRNA)代謝のさまざまな側面に関与するN6-メチルアデノシン(m6A)修飾が、ヒト多能性幹細胞における大多数のRNA:DNAハイブリッドで検出できることを示す。細胞周期のG2/M期にm6Aを含むRループが蓄積し、G0/G1期に枯渇すること、また、mRNA分解を促進するm6A読み取りタンパク質であるYTHDF2が、分裂中の細胞ではRループの豊富な座位と相互作用することが明らかになった。その結果、哺乳類細胞においてYTHDF2をノックアウトすると、Rループレベルの上昇、細胞増殖の遅延、DNA二本鎖切断のマーカーであるγH2AXの蓄積が引き起こされた。我々の結果から、m6AによってRループの蓄積が調節されていると考えられ、この修飾がゲノムの安定性を保つ際に役割を担っていることが示唆された。