Analysis

フェノーム規模関連解析:血漿プロテオームが複雑疾患に及ぼす影響のフェノーム規模のメンデルランダム化解析によるマッピング

Nature Genetics 52, 10 doi: 10.1038/s41588-020-0682-6

ヒトのプロテオームは、治療標的の重要な情報源である。近年行われてきた血漿プロテオームの遺伝的関連解析により、血漿タンパク質レベルの差異がもたらす因果的帰結を系統的に評価することが可能となっている。本研究では、2標本メンデルランダム化(MR)解析および共局在解析を用いて、1002種類のタンパク質が225の表現型に及ぼす影響を推定した。MR解析の結果から支持された413の関連のうち、130(31.5%)は共局在解析の結果からは支持されなかったので、タンパク質に関する単純なフェノーム規模関連解析においては連鎖不平衡に起因する遺伝的交絡が広く認められることが示唆された。次に、cis作用性についての解析のみに限定して、MR解析と共局在解析の結果を組み合わせることで、65種類のタンパク質と52の疾患関連表現型との間に111の推定因果効果が特定された(https://www.epigraphdb.org/pqtl/)。過去に行われた医薬品開発計画のデータを評価した結果、MR解析と共局在解析によって関連が支持された標的と適応症のペアの方が承認に至る可能性が高いことが示され、このアプローチが治療標的候補の特定と優先順位付けに有用であることが実証された。

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