Technical Report
3次元ゲノム:CHESSはクロマチン接触データの定量的比較と自動特性抽出を可能にする
Nature Genetics 52, 11 doi: 10.1038/s41588-020-00712-y
クロマチンの3次元的(3D)組織化の動的変化は、転写や複製、発生などの重要な生物学的過程と関連している。従って、これらの変化を包括的に明らかにすることやその定量化は、進化や調節の機構を理解するための基礎となる。今回我々は、クロマチン接触マップの比較と差分特性の自動抽出を行うためのアルゴリズムである、CHESS(Comparison of Hi-C Experiments using Structural Similarity)について報告する。我々は、CHESSが実験上のばらつきに対してロバストであることを実証し、生物学的応用例として、(1)ヒトとマウスモデルにおけるシンテニー領域の種間比較、(2)Zeldaを枯渇させたショウジョウバエ(Drosophila)胚での種内のコンホメーション変化の特定、(3)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫検体における患者固有の異常クロマチンコンホメーション、(4)高解像度キャプチャーCデータでのクロマチン接触の差異の体系的な特定を紹介する。以上より、CHESSは、クロマチン接触データの比較や分類を行う上で、計算的に効率の高い手法であると言える。