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エンハンサー:高度に相互接続されたエンハンサー共同体がヒト間葉系幹細胞において細胞系譜決定遺伝子を制御する

Nature Genetics 52, 11 doi: 10.1038/s41588-020-0709-z

脂肪細胞の分化は、転写調節因子の急激な変動によって引き起こされ、エンハンサーの状況が再プログラム化され、プロモーターのインタラクトームの配線が変化する。本論文では、ハイスループット染色体コンホメーションエンハンサー捕捉(high-throughput chromosome conformation enhancer-capture;ECHi-C)法を用いて、ヒト間葉系幹細胞の分化過程でのエンハンサー間の相互作用の役割を調べた。その結果、エンハンサーは、分化の過程で動的な精巧なネットワークを形成していて、エンハンサー活性の変化と結び付いていることが分かった。ベイトとしたエンハンサーに結合する転写因子(TF)は、標的エンハンサーへのTF結合を増幅する。我々はこの現象を、TFの相互作用安定化(cross-interaction stabilization)と名付けた。また、高度に相互接続されたエンハンサー(HICE)は、3次元のエンハンサー共同体を形成することによって、分化を調整する統合的なハブとして機能する。この内部で、HICEやその他のエンハンサーは、表現型に重要な遺伝子プロモーターに向かって集まる。総合的にこれらの結果から、エンハンサーの相互作用がエンハンサーの機能の調節に重要な役割を担っていること、また、HICEがシグナルの統合とゲノムの区画化の両方に重要であることが示された。

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