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血圧:130万人を対象としたメタ解析による血圧調節に関連するレアバリアントの発見
Nature Genetics 52, 12 doi: 10.1038/s41588-020-00713-x
血圧(BP)に関するこれまでの遺伝学的研究では、ありふれたバリアント(マイナーアレル頻度 < 0.05)の解析が主に行われてきた。今回我々は、約130万人の参加者を対象としたメタ解析を実施し、BPに関連を有する106の新規ゲノム領域と87のBP関連レアバリアント(マイナーアレル頻度 ≤ 0.01)を見いだした(P < 5 × 10-8)。レアバリアントのうち32は新規BP関連部位に位置しており、55は既知のBP関連領域内の独立した一塩基バリアントであった。レアバリアント(44%はコード領域のバリアント)の平均効果量は、ありふれたバリアントの約8倍であり、新規および既知の座位に位置する潜在的な原因遺伝子候補の存在(例えば、GATA5やPLCB3)を示している。BP関連バリアント(レアバリアントとありふれたバリアントの両方)は、胎児組織では活性クロマチン領域に多く認められ、胎児期の発生とその後のBP調節とを結び付けている可能性がある。多変量メンデルランダム化解析では、収縮期血圧と拡張期血圧の上昇が大血管脳卒中のリスクに及ぼす効果は、互いに打ち消し合う方向のものである可能性が示唆された。本研究は、候補遺伝子の特定におけるレアバリアント解析の有用性を実証するものであり、得られた結果は潜在的な治療標的を示している。