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複雑形質:複雑形質の遺伝率についての機能情報に基づく精細マッピングと多遺伝子位置確認
Nature Genetics 52, 12 doi: 10.1038/s41588-020-00735-5
精細マッピングは、複雑形質に影響を及ぼす原因バリアントの特定を目的としている。本論文では、精細マッピングの精度を向上させるためのスケーラブルなコンピューター解析の枠組みとして、PolyFunを提案する。PolyFunは、SuSiEやFINEMAPなどの精細マッピング手法の事前確率を規定するために、ゲノムワイドな有意水準の座位だけでなく、ゲノム全体の機能アノテーションを利用するという特徴を持つ。シミュレーションでは、PolyFun+SuSiEやPolyFun+FINEMAPはうまく調整され、対応する機能情報がない手法を用いた場合よりも、原因の事後確率が0.95を超えるバリアントを20%以上多く特定することができた。英国バイオバンクの49の形質(平均n = 318,000)の解析では、PolyFun+SuSiEは、0.95を超える原因の事後確率で、精細マッピングによるバリアント–形質のペア3025対を特定した。これはSuSiEだけを用いる場合と比べて32%を超える改善である。我々は、PolyFun+SuSiEのSNPごとの事後平均遺伝率を用いて多遺伝子位置確認を行うことで、ありふれたSNPの遺伝率の50%の原因を説明する、ありふれたSNPの最小セットを構築した。これらのセットのサイズは、28(髪の色)から、3400(身長)あるいは200万(子どもの数)の範囲であった。結論として、PolyFunは機能の追跡によってバリアントに優先順位を付けて、複雑形質の構造についての手掛かりを示してくれる。