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赤血球:シグナル伝達転写因子の結合部位のありふれたバリアントは赤血球形質の表現型のばらつきを引き起こす
Nature Genetics 52, 12 doi: 10.1038/s41588-020-00738-2
ゲノムワイド関連解析から、ヒトの形質や疾患に関連するゲノムバリアントが特定されている。形質関連バリアントのほとんどは細胞タイプ特異的エンハンサー内に位置しているが、表現型の多様性を決めている分子機構はあまり解明されていない。今回我々は、赤血球(RBC)形質に関連する多くのエンハンサーバリアントが、細胞系譜特異的なマスター転写因子(MTF)と細胞外シグナルに応答するシグナル伝達転写因子(STF)が共に結合するエンハンサーにマッピングされることを示す。エンハンサーバリアントの大部分は、MTFモチーフではなくSTFモチーフに存在し、さまざまなSTF(BMP/TGF-βが指示するSMAD、またはWNTが誘導するTCF)のDNA結合をかく乱し、標的遺伝子の発現に影響を及ぼす。改変したヒト血液細胞や発現量的形質座位の解析から、STFの結合が破壊されることで遺伝子発現の変化が引き起こされることが確認された。この結果から、転写因子結合配列に存在するRBC形質関連バリアントの大部分はSTFの標的配列に含まれており、RBC形質の表現型の多様性が細胞外刺激に対する応答性の変化に起因する可能性があることが示唆された。