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サイレンサー:ヒト細胞におけるサイレンサーの体系的同定
Nature Genetics 52, 3 doi: 10.1038/s41588-020-0578-5
ヒトゲノムの大部分はタンパク質をコードしていない。これらの非コード領域の多くは、遺伝子発現を制御する重要な調節配列を含んでいる。これまで、ほとんどの研究はエンハンサーのような転写活性化領域に注目しており、遺伝子発現を抑制する領域、すなわちサイレンサーについては体系的な研究が行われてこなかった。我々は、サイレンサーを介したカスパーゼ9の転写抑制に基づいて、ゲノム全域のサイレンサー領域を同定するシステムを開発した。同定されたサイレンサーは広範囲に分布しており、組織特異的な方法で働いていると考えられる。これらのサイレンサーは特徴的なエピジェネティック修飾のパターンを有し、特定の転写因子と関連している。またサイレンサーは複数の遺伝子に作用し、その作用は染色体ドメインレベルであり、長距離相互作用を示す。薬物トランスポーター遺伝子ABCC2およびABCG2に関連付けられたサイレンサー領域の欠失は、化学療法抵抗性を引き起こした。我々の研究は全体として、組織特異的サイレンシングはヒトゲノム中に広く見られる現象であり、遺伝子発現の制御とヒトの生物学的過程に大きく寄与している可能性があることを示している。