Analysis

うつ病:最小限表現型判定で得られるゲノムワイド関連シグナルは大うつ病性障害に対する特異度が低い

Nature Genetics 52, 4 doi: 10.1038/s41588-020-0594-5

最小限表現型判定(minimal phenotyping)は、疾患症例確認用の少数の自己報告項目を利用することに依存した手法であり、ゲノムワイド関連研究(GWAS)での利用が増えている。今回我々は、最小限表現型判定により定義されたうつ病と、厳密に定義された大うつ病性障害(MDD)の間の遺伝学的構造の違いについて報告する。前者は遺伝子型に由来する遺伝率が低く、軽度の症例を含めたとしても遺伝率は上がらない。また、他の疾患との遺伝的易罹患性の共有にゲノムが寄与する割合は、厳密に定義されたMDDの場合よりも高くなる。最小限表現型判定による定義に基づいたGWASは、MDD特異的でない遺伝子座を優先的に特定し、高度に予測的な多遺伝子リスクスコアを生成するものの、その予測力はもっぱら、MDDに対する特異度よりもむしろ、サンプルサイズを大きくすることによって説明され得る。我々の結果は、最小限表現型判定で得られた結果に依存すると、MDDの遺伝的構造の評価に偏りを生じ、MDDに特異的な経路を特定する能力の妨げとなる可能性があることを示している。

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