Analysis

精密がん医療:がんにおける体細胞ゲノムバリアントの臨床的解釈に関する調整されたメタ知識ベース

Nature Genetics 52, 4 doi: 10.1038/s41588-020-0603-8

がんの精密医療は、ゲノムのバリアントの発見と解釈の正確性に依存しており、それに基づいて個別化診断や予後予測、治療の判断が可能になる。がんの体細胞バリアントについての6つの著明な知識ベースは、含まれる内容、構造、根拠となる原著論文がそれぞれ大きく異なっており、バリアントおよびその臨床的意義を評価する際に統一的な解釈を難しくしていることを我々は見いだした。本論文では、バリアントの解釈を統一的に調整するための枠組みを開発し、総計1万2856の解釈を含むメタ知識ベースを作成したので報告する。その結果として、バリアント、疾患、薬剤の情報源の間に重なりが生じることでより多くの情報が得られることが実証された。次に、患者コホートと臨床的意義解釈との対応関係を調整すると、その対応関係が向上し、個々の知識ベース当たり平均33%から調整後の知識ベース全体での57%へと向上が観察された。我々の解析から、オープンで相互運用可能なバリアント解釈データを共有する必要性が明らかになった。我々は、これら6つの知識ベースの調整済みの解釈を探索するための無料で利用可能なWebインターフェイス(search.cancervariants.org)も提供する。

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