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ワタ:シロバナワタGossypium herbaceumのゲノム配列の解読およびキダチワタGossypium arboreumとワタGossypium hirsutumのゲノム配列のアップデートにより、ワタAゲノムの進化についての理解が進む

Nature Genetics 52, 5 doi: 10.1038/s41588-020-0607-4

シロバナワタGossypium herbaceum(A1ゲノムで構成される)の初のゲノムアセンブルと、すでにゲノム配列が報告されていたキダチワタGossypium arboreum(A2ゲノムで構成される)、およびワタGossypium hirsutum〔(AD)1ゲノムで構成される〕の各ゲノムアセンブリの大幅な改善により、我々は、既知の全てのAゲノムが共通の1祖先(本論文でA0ゲノムと呼ぶ)を起源とし、A0ゲノムは系統学的にA2ゲノムよりもA1ゲノムへの関連が強いことを明らかにした。さらに、異質四倍体の形成はA1およびA2のゲノム分化に先立って生じたことが分かった。両Aゲノムはそれぞれ独立に進化し、これらのAゲノム間に祖先–子孫関係は存在しない。正規分布の確率密度関数を用いて解析を行ったところ、LTR(長い末端反復配列)の爆発的増加が570万〜61万年前に複数回にわたって生じ、それらがAゲノムのゲノムサイズの増大、ゲノム分化、およびゲノム進化に寄与したことが示された。遺伝子領域に豊富に認められる種特異的な構造的変異により、多くの重要な遺伝子の発現が変化し、それが(AD)1での繊維細胞の改善につながった可能性がある。我々の発見はAゲノムの起源についての論争に終止符を打ち、ワタの遺伝的改良に貴重なゲノム資源を提供する。

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