Article

パーキンソン病:脳の複雑な形質の根底にある細胞タイプを遺伝学的に同定することにより、パーキンソン病の発症に関する知見を得る

Nature Genetics 52, 5 doi: 10.1038/s41588-020-0610-9

ゲノムワイド関連研究によって、複雑な脳疾患に関連する数百の座位が明らかにされてきたが、これらの座位がどの細胞タイプで機能しているかは不明である。今回我々は、ゲノムワイド関連研究と、マウスの全神経系からの単一細胞トランスクリプトームデータを統合して、脳の複雑な形質の根底にある細胞タイプを体系的に特定した。その結果、精神疾患は主に興奮性ニューロンと抑制性ニューロンの投射と関連していることが明らかになった。一方で、神経疾患は別の細胞タイプと関連しており、他の一連の証拠と一致する結果が得られた。さらに、パーキンソン病では、コリン作動性ニューロンやモノアミン作動性ニューロン(ドーパミン作動性ニューロンを含む)だけでなく、腸管ニューロンやオリゴデンドロサイトとの遺伝学的関連が見られた。我々は、剖検脳のトランスクリプトームデータを用いてこれらの細胞の変化を確認し、このような変化は疾患進行の初期段階でも認められることを示した。我々の研究は、複雑な脳疾患の細胞基盤を理解するための重要な枠組みを提供し、パーキンソン病においてオリゴデンドロサイトが予期せぬ役割を担っていることを明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度