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糖尿病:複数祖先メタ解析における140万人の参加者から見つかった2型糖尿病や付随する血管系疾患転帰に対する318の新規リスク座位
Nature Genetics 52, 7 doi: 10.1038/s41588-020-0637-y
今回我々は、Million Veteran Program(MVP)、DIAMANTE、バイオバンク・ジャパンなどの研究を用いて、2型糖尿病(T2D)患者22万8499人と対照群117万8783人に対する複数祖先メタ解析を行い、T2Dの遺伝的感受性について調べた。常染色体上の286の関連、X染色体上の7の関連、祖先特異的解析で特定された25の関連をはじめとする568の新規関連を報告する。トランスクリプトーム規模の関連解析では、687の新規遺伝子について、遺伝学的に予測される遺伝子発現とT2Dとの関連が3568個検出された。これらのうち、54はFDA承認薬との相互作用が知られている。多遺伝子リスクスコア(PRS)は、T2Dに伴う網膜症のリスクの上昇と強い関連を示し、慢性腎疾患(CKD)や末梢動脈疾患(PAD)、ニューロパチーとは弱い関連を示した。MVPにおいて、T2Dに伴う血管系疾患転帰の病因を遺伝学的に調べると、冠状動脈性心疾患(CHD)、CKD、PADおよびニューロパチーなどに関して、13のバリアントにおいてSNP–T2Dの相互作用が統計学的に観察された。これらの知見は、T2Dに対する治療標的候補や、T2Dを血管系疾患の転帰に結び付けるゲノム経路を特定する上で役立つだろう。