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クロマチン:コヒーシンは確率論的なドメイン混合を促進して境界付近の遺伝子の適切な調節を確保する

Nature Genetics 52, 8 doi: 10.1038/s41588-020-0647-9

ヒトのゲノムは、TAD(topologically associating domain)という領域に分けられ得る。TADは、クロマチンのループ形成を介して、遺伝子や調節配列を空間的に隔離すると考えられている。また、各細胞によってTAD境界の位置に違いがあるため、TAD間の相互作用がおそらく存在すると示唆されている。しかし、このような動的な境界の性質、範囲、そしてその結果についてはよく分かっていない。本論文では、高分解能イメージングとオリゴペイント(Oligopaint)技術を組み合わせることで、脆弱な境界と強固な境界の両方において相互作用頻度を定量化した。細胞集団によって定められる境界では、クロマチンの混合は広範囲に見られるが、その許容範囲は座位特異的であることが分かった。コヒーシンを除去すると、細胞集団レベルでドメインの形成が阻止されるが、異所性相互作用の誘導は行われず、その代わりに調べた全ての境界で相互作用が減少した。対照的に、WAPLあるいはCTCFを除去すると、コヒーシン依存的にドメイン間の接触が増加した。コヒーシンの喪失によるクロマチン混合の減少によって、境界付近の遺伝子のトポロジーや転写バースト頻度に影響が及んだ。我々は、コヒーシンが、境界を迂回して、境界付近の遺伝子の隣接するドメインへの取り込みを促進することがあると提案する。

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