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前立腺がん:進行した前立腺がんのDNAメチル化の全体像
Nature Genetics 52, 8 doi: 10.1038/s41588-020-0648-8
DNAメチル化は遺伝子発現の重要な調節因子であるが、転移性がんの包括的なメチル化の全体像は明らかになっていない。本論文では、100人の転移性去勢抵抗性前立腺がんについて、全ゲノムバイサルファイト塩基配列決定法と、高深度の全ゲノム塩基配列決定法およびトランスクリプトーム塩基配列決定法を組み合わせることで、統合全ゲノム手法でのみ検出可能な、ドライバー遺伝子に影響を及ぼす変化を見いだした。特に、腫瘍の22%が高メチル化とTET2、DNMT3B、IDH1、BRAFの体細胞変異に関連する新しいエピゲノムサブタイプを示すことが分かった。また、遺伝子間領域でのメチル化が、発がん性ドライバー遺伝子のAR、MYC、ERGのRNA発現に関連することも明らかになった。さらに、プログレッション過程でのメチル化の差異は、体細胞変異ホットスポットおよび推定の調節領域で優先的に生じていることが分かった。この研究は、転移がんにおける全ゲノム、全メチローム、全トランスクリプトームの塩基配列決定に関する大規模な統合研究であり、転移性去勢抵抗性前立腺がんにおけるメチル化の重要な調節的役割の包括的な概要を示している。