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臨床検査:英国バイオバンクにおける35の血中・尿中バイオマーカーの遺伝的基盤

Nature Genetics 53, 2 doi: 10.1038/s41588-020-00757-z

臨床検査は、治療の経過を継続してモニタリングするための重要な手段である。本研究で我々は、英国バイオバンク(n = 363,228の個人)における35種類の血液および尿の臨床検査値の遺伝的基盤を評価した。その結果、少なくとも1つの形質に関連を有する1857の座位が特定された。精細マッピングの結果、3374のバリアントとの関連が見つかった。また、バイオマーカーに対する効果の大きな(> 0.1 s.d.)タンパク質変更バリアント、ヒト白血球抗原(HLA)バリアント、コピー数バリアント(CNV)との関連を示す座位群も含まれていた。メンデルランダム化(MR)解析では、以前から知られている尿酸の痛風に対する作用効果やシスタチンCの脳卒中に対する作用効果をはじめ、51の因果関係が発見された。さらに我々は、バイオマーカーごとに多遺伝子リスクスコア(PRS)を作成し、35のPRSを一斉に使用することにより、疾患リスク予測の「マルチPRS」モデルを構築した。それにより独立したデータセット(FinnGen、n = 135,500)において、単一疾患のPRSと比較して、慢性腎臓病、2型糖尿病、痛風、アルコール性肝硬変の遺伝的リスク層別化が改善された。まとめると本研究の結果から、バイオマーカーの遺伝的基盤と疾患への因果的影響が明らかとなり、ありふれた疾患の遺伝的リスク層別化が改善された。

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