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心疾患:肥大型心筋症のリスクおよび表現度に影響を及ぼすありふれた遺伝的バリアントと修正可能なリスク因子
Nature Genetics 53, 2 doi: 10.1038/s41588-020-00764-0
肥大型心筋症(HCM)は頻度の高い重篤な遺伝性心疾患である。サルコメア遺伝子の病因性レアバリアントがHCMの原因となることが分かっているが、表現型には原因不明の不均一性がある。さらに、ほとんどの患者はそのようなバリアントを保有していない。我々は、2780例の症例と4万7486例の対照を対象としたゲノムワイド関連解析により、ゲノム規模レベルで有意な12のHCM感受性座位を特定したことを報告する。SNP遺伝率からは、特にサルコメア異常のないHCM(症例の64%、h2g = 0.34 ± 0.02)において、強い多遺伝子性の影響が示された。検証研究では、遺伝的リスクスコアはHCMのオッズに大きな影響を及ぼしており、最小5分位ではオッズが半分、最大5分位ではオッズが2倍であった。遺伝的リスクスコアはまた、サルコメアバリアントを保有する患者の表現型の重症度にも影響を及ぼしていた。メンデルランダム化解析では、サルコメア異常のないHCMにおいて、修正可能なリスク因子の主要なものとして拡張期血圧(DBP)が特定され、DBPが1標準偏差上昇するとHCMのリスクは4倍に増加した。本研究で示したように、ありふれたバリアントと修正可能なリスク因子がHCMにおいて重要な役割を果たしており、これらは臨床的に利用可能であると考えられる。