Article

ライムギ:染色体スケールのゲノムアセンブリーにより、ライムギの生物学、進化、農学上の可能性についての洞察が得られる

Nature Genetics 53, 4 doi: 10.1038/s41588-021-00807-0

ライムギは、極めて気候変動に強い穀物なので、浸透交雑によるコムギの品種改良に広く利用されており、雑種交配を可能とする上で必要な遺伝子は全て保有されている。ライムギは他家受粉する他殖性作物であり、かつ栽培化されてからの歴史が浅いので、栽培ライムギを通じて広範な野生遺伝子プールを利用できる。ライムギの農学的利用価値をさらに高めるため、我々は7.9 Gb(ギガ塩基対)の注釈付きライムギゲノムを染色体レベルで構築し、さらに、その品質を各種の分子遺伝学的手法を用いて様々な角度から検証した。我々はこの分子遺伝学的な情報資源がさまざまな研究に応用できることを示す。本論文で、我々は、栽培ライムギが野生種から遺伝的に完全には隔離されていないこと、ゲノムの構造的進化の機構、病原体への抵抗性、低温耐性、雑種育種のための受精制御機構、ライムギ–コムギ間の遺伝子浸透による収量効果についての新たな知見を報告する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度