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遺伝子機能:「共必要性」モジュールのゲノム規模のアトラスによって、特徴が不明な遺伝子に機能を割り当てる
Nature Genetics 53, 5 doi: 10.1038/s41588-021-00840-z
ポストゲノム時代の中心的な疑問は、遺伝子がどのように相互作用することで生物学的経路が形成されるのかということである。何百もの細胞株における遺伝子依存性を測定することにより、遺伝子を「共必要性(co-essential)」経路に割り当てることが行われているが、この手法は普遍的に偽陽性が存在するために限界がある。本研究で、我々は、遺伝子の共必要性をロバストに特定でき、また、ゲノム規模で機能モジュールのセットを作り出す、統計的手法を開発した。この手法によって、多様な経路とタンパク質複合体を再現するアトラスを作製でき、また、特徴が不明な108の遺伝子の機能を予測することができた。最も上位の予測を検証したところ、TMEM189が、プラズマローゲン合成の主要な酵素であるプラズマニルエタノールアミンデサチュラーゼをコードしていることが分かった。また、C15orf57がコードするタンパク質は、AP2複合体に結合し、クラスリン被覆ピットに局在して、効率的なトランスフェリンの取り込みを可能にすることも分かった。さらに我々は、研究コミュニティーが我々の解析結果を検索するためのインタラクティブなWebツールを提供する。これは、共必要性プロファイリングが生物学的経路の特定と遺伝子の新しい機能の発見のための強力な情報資源となることを確かとするものである。