Letter

パーキンソン病:パーキンソン病認知症の発症に関連する新規シナプス関連座位のゲノムワイド生存解析による特定とポリジェニックスコアの開発

Nature Genetics 53, 6 doi: 10.1038/s41588-021-00847-6

パーキンソン病(PD)の経過(進行と予後)は、患者の生活の質(QOL)や、治療薬の臨床試験において重要な意味を持つ。我々は、PD患者のQOLを決定する重要な要因である認知症への進行に遺伝的バリアントが及ぼす影響を評価する目的で、3821人のPD患者による3万1053回の受診を対象として、1120万のバリアントを含めた縦断的なゲノムワイド生存解析を実施した。PDにおける認知症への進行に関連する座位としてRIMS2が発見され、これは再現集団での解析でも確認された(ハザード比(HR) = 4.77、P = 2.78 × 10−11)。また、認知症への進行に関連することが示唆された座位として、TMEM108(HR=2.86、P = 2.09 × 10−8)およびWWOX(HR = 2.12、P = 2.37 × 10−8)が見つかった。すでに関連が報告されているGBA(HR = 1.93、P = 0.0002)およびAPOE(HR = 1.48、P = 0.001)についても、関連が確認された。PDの進行を予測するポリジェニックスコアは、認知症の発症リスクと全体的に関連を示したが、PDへの感受性を予測するポリジェニックスコアでは認知症の発症を予測できなかった。本研究では、PDの認知症への進行に関連する新規シナプス関連座位を特定してポリジェニックスコアを開発し、認知症への進行がPDへの感受性とは異なる遺伝的基盤を有している可能性を示した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度