DNAメチル化:DNMT3Aを誘導する2つの競合的機構によりPRC1の標的であるCpGアイランドでのde novo DNAメチル化動態が調節される
Nature Genetics 53, 6 doi: 10.1038/s41588-021-00856-5
CpGに正確なメチル化を施すことは、哺乳類の発生や組織の恒常性に重要であり、ヒト疾患ではしばしばその調節異常が観察される。de novo DNAメチルトランスフェラーゼであるDNMT3Aの局在は、ヒストンH3リシン36(H3K36)のメチル化を認識するPWWPドメインによって促進され、通常はCpGアイランド(CGI)には存在しない。しかし、ポリコーム抑制複合体(PRC)が調節するCGIメチル化も観察されている。本論文では、傍神経節腫および小頭性小人症で見つかったDNMT3AのPWWPドメインに見られる複数の変異が、PRC1依存的にCGIへのDNMT3Aの異常な局在を促進することを報告する。PWWP変異型DNMT3Aは、PRC2によって触媒されるヒストンH3リシン27のトリメチル化(H3K27me3)の形成量に関係なく、PRC1を介するヒストンH2Aリシン119のモノユビキチン化(H2AK119ub)の形成を含む領域に蓄積する。DNMT3Aは、アミノ末端に推定されているユビキチン依存性誘導領域を介して、H2AK119ub修飾を受けたヌクレオソームと相互作用する。これはDNMT3Aをゲノムに標的化する選択的な機構であり、この機構は、PWWPのリーダー機能の喪失によって増強される。PRC1を除去すると、これらのPWWP変異型DNMT3AのCGIへの局在が起こらず、DNA過剰メチル化異常が防止された。我々の研究から、別個のリーダードメインによるDNMT3A誘導の間のバランスによって、de novo CpGメチル化が引き起こされること、またこのことが、選択的なヒトがんサブタイプや発達障害で観察される異常なDNAメチル化の状態の根本にある可能性が示唆された。