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転写調節:遺伝性高胎児ヘモグロビン症におけるGATA1およびNF-Yによるγグロビン遺伝子発現の活性化
Nature Genetics 53, 8 doi: 10.1038/s41588-021-00904-0
遺伝性高胎児ヘモグロビン症(HPFH)では、発生の際のγグロビン(HBG1/HBG2)からβグロビン(HBB)への遺伝子発現の切り替えが阻害されることにより、βヘモグロビン症が軽減される。HPFHのいくつかの型は、γグロビンプロモーターが、転写抑制因子の結合モチーフを破壊したり、あるいは転写活性化因子の新しいモチーフを生じさせたりするバリアントを伴う。これらのバリアントが、出生後にγグロビン遺伝子の発現を維持する仕組みについては明らかになっていない。本論文では、異なるHPFHバリアントを持つ赤血球系細胞において、機能を解析する方法で、γグロビンプロモーター塩基配列のマッピングを行った。BCL11A抑制因子の結合配列を破壊するHPFHバリアントでは、近くの近位CCAATボックスへのNF-Y(nuclear transcription factor Y)の誘導と、上流のGATAモチーフへのGATA1の誘導が促進されることにより、γグロビン発現が引き起こされた。活性化因子NF-YあるいはKLF1の新しい結合モチーフを生じさせるHPFHバリアントでは、この近位CCAAT配列は不要になるが、GATA1の誘導は不可欠なままであった。我々の知見から、転写因子とそのシス調節配列がさまざまな型のHPFHにおいてγグロビン発現を活性化する機構は異なっていることが分かり、その一部はまさに治療のためのゲノム編集によって再現されている。