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ミクログリア:脳領域、加齢、疾患病理横断的なヒトミクログリアトランスクリプトームの遺伝学的解析

Nature Genetics 54, 1 doi: 10.1038/s41588-021-00976-y

ミクログリアは、脳の加齢と病理における重要な因子であることが明らかになってきている。神経疾患や精神疾患の遺伝的リスクが、ミクログリアの機能とどのように関連しているかを理解するためには、大規模なトランスクリプトーム研究が不可欠である。今回我々は、剖検によって100人の複数脳領域から単離された255のヒト初代ミクログリア試料に関するトランスクリプトーム解析について報告する。我々は体系的な解析を行い、脳領域や加齢などの違いに基づくミクログリアのさまざまな不均一性について調べた。発現とスプライシングの量的形質座位をマッピングしたところ、多くの神経疾患感受性座位が、ミクログリアでの遺伝子発現やスプライシングを介して作用することが明らかになった。これらの座位のファインマッピングから、ミクログリア特異的エンハンサー内の原因バリアントが候補に挙がり、アルツハイマー病にはUSP6NL、パーキンソン病にはP2RY12のミクログリアでの発現が関連することが見つかった。我々は、ミクログリアトランスクリプトームに対する遺伝的影響について、これまでで最も総合的なカタログを構築し、精神神経疾患における機能的バリアントの候補を提供する。

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