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精神疾患:12の精神疾患の遺伝的重なりの検討

Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01245-2

複数の精神疾患がしばしば併存することが疫学研究で示されており、それを裏付けるように大規模な遺伝学的研究でゼロでない正の遺伝的相関が検出されている。このような表現型および遺伝子型の共分散の基盤にある共通の生物学的プロセスを特定し、さらに、一般的な精神疾患への易罹病性に関係する分子学的特徴の同定を進めるために、本研究では多面的な、すなわち形質横断的な関連を有する、一塩基多型(SNP)、遺伝子、生物学的経路を明らかにすることを目的としたいくつかの戦略を用いた。12の精神疾患について形質横断的なメタ解析を実施し、多面的関連のあるSNPを同定した。メタ解析のシグナルは統合失調症によって強く影響され、形質横断的メタ解析のシグナルの解釈と生物学的な統合評価を難しくしていた。次いで精神疾患同士のペアワイズ比較を行ったところ、相当数の多面的重複が明らかになったが、その多くは2つの精神疾患の間でのみ検出され、P値の閾値を厳格にすると検出できなくなる場合が多かった。進化的に保存されたゲノム領域に関連したアノテーションのみが、複数の精神疾患(12疾患中9疾患)について有意であった。以上のように、疾患によって検出力と遺伝学的構造が変動するので、共通した生物学的メカニズムの同定は依然として難しい。

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