Article
ゲノムの組織化:細菌のゲノム組織化をもたらす染色体ループのアンカー
Nature Genetics 54, 2 doi: 10.1038/s41588-021-00988-8
核タンパク質複合体は、真核生物と原核生物の両方において、ゲノムの組織化に不可欠な役割を担っている。DNAを局所的に構造化して凝縮する役割とは別に、いくつかの複合体は、大域的な組織化において作用することが知られている。これらは、アンカー部位でつなぎ留められた長い染色体ループの形成を介して、DNAの大きな区域を空間的に分離させている。このようなメガベース規模の相互作用は、真核生物では普遍的に見られるが、原核生物では明らかにされていない。今回我々は、ゲノム規模の沈降に基づく手法を用いて、転写因子であるRokが、枯草菌(Bacillus subtilis)で、大きな核タンパク質複合体を形成することを見いだした。我々は、3C(chromosome conformation capture)法とDNA座位のライブイメージング(生細胞画像化)を用いて、これらの複合体が、長い距離にわたって互いにロバストに相互作用することを示す。重要なことは、これらのRok依存的な長距離相互作用は、アンカー部位のある染色体ループの形成を引き起こし、その結果として、これまでに真核生物でインシュレータータンパク質について観察されていたのと同様に、DNAの大規模な区域が空間的に分離されることである。