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ジャガイモ:4倍体ジャガイモ栽培品種のハプロタイプを区別した染色体規模のゲノムアセンブリー

Nature Genetics 54, 3 doi: 10.1038/s41588-022-01015-0

ジャガイモは世界中で広く栽培されている塊茎作物である。しかし、その同質四倍体ゲノムを4つのハプロタイプを区別して再構築することは、未達成の課題であった。本論文で我々は、ジャガイモ栽培品種「Otava」について、高品質ロングリードデータ、717の花粉ゲノムの単一細胞塩基配列決定データ、およびHi-Cデータに基づいて構築した、精度99.6%でハプロタイプを区別した3.1 Gbの染色体規模のゲノムアセンブリーを報告する。予想に反して、ゲノムの約50%は同祖性を示し、これは栽培の歴史の中では最近行われた同系交配によるものと考えられた。それとは対照的に、ゲノムの約20%では構造的な再構成が非常に豊富に見られた。3万8214の遺伝子のうち、4つのハプロタイプ全てに存在するものは54%にすぎず、1遺伝子当たりの平均コピー数は3.2であった。葉のトランスクリプトームを例に取ると、遺伝子の11%は少なくとも1つのハプロタイプで異なる発現をしており、そのうち25%は対立遺伝子特異的なDNAのメチル化により調節されている可能性が高かった。本研究は、ジャガイモの交配の最近の歴史や4倍体ゲノムの機能的な成り立ちに新たな知見をもたらし、今後のゲノム情報を用いた育種の強化に役立つだろう。

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