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神経変性疾患:アルツハイマー病および関連認知症の遺伝学的病因に対する新しい洞察
Nature Genetics 54, 4 doi: 10.1038/s41588-022-01024-z
アルツハイマー病(AD)やADに関連した認知症(ADD)の遺伝的全体像を明らかにすることは、関連する病態生理学的過程をよりよく理解する上で格好の機会となる。今回我々は、臨床または代理変数によって診断されたADの患者群11万1326例と、対照群67万7663例について、2段階ゲノムワイド関連解析を行った。その結果、75か所のリスク座位が見つかり、そのうち42か所は解析時点において新規だった。パスウェイエンリッチメント解析により、アミロイド/タウ経路の関与が確認され、ミクログリアの重要性が明確になった。これらの新しい座位について遺伝子の優先順位付けを行うことにより、新たな遺伝学的関連過程を示唆する31の遺伝子が明らかになり、直鎖状ユビキチン鎖形成複合体を介した腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)経路などが示唆された。我々はまた、将来的なAD/認知症のリスクや、軽度認知障害からAD/認知症への進行のリスクに関連する新たな遺伝的リスクスコアも構築した。年齢とAPOE ε4対立遺伝子の影響に加えて、予測が改善された結果として、十分位の最低から最高までについて、ADリスクが1.6倍から1.9倍に増加した。