Analysis
脳機能:内因性のヒト脳機能ネットワークに関与するありふれたバリアント
Nature Genetics 54, 4 doi: 10.1038/s41588-022-01039-6
ヒトの脳は、相関性のある活動に関して機能的ネットワークを形成しており、これらは認知的結果と臨床転帰の両方に関連する。しかし、脳機能に影響を与える遺伝的バリアントについてはほとんど知られていない。今回我々は、4万7276人の被験者の安静時機能的磁気共鳴画像を用いて、内因性脳活動に影響を及ぼすありふれた遺伝的バリアントの探索と検証を行った。脳機能シグネチャーと関連する45か所の新たな遺伝的領域が明らかになり(P < 2.8 × 10−11)、その中には精神病理学のトリプルネットワークモデルに関与する中央実行系ネットワーク、デフォルトモードネットワーク、顕著性ネットワークとの関連が含まれていた。脳活動と関連する座位には、脳疾患と共局在する例がいくつもあった(例えば、アルツハイマー病と関連するAPOE ε4座位)。また、脳機能の変化には、大うつ病性障害や統合失調症などの脳疾患と遺伝学的な相関が見られた。以上より、我々の研究は、脳機能ネットワークの遺伝的構造と、それらと脳に関する複雑形質や疾患との遺伝的結び付きを理解するための一歩を示している。