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双極性障害:双極性障害のエキソーム塩基配列決定からAKAP11が統合失調症と共有されるリスク遺伝子であることが明らかになる
Nature Genetics 54, 5 doi: 10.1038/s41588-022-01034-x
本論文では、双極性エキソーム(Bipolar Exome;BipEx)共同研究による、双極性障害(BD)患者1万3933人と対応する対照1万4422人についての全エキソーム塩基配列決定解析の結果を報告する。BD患者では、BDの主要サブタイプ両方において、強い進化的制約下にある遺伝子の中に超希少なタンパク質短縮型バリアント(PTV)が過剰に見られた。超希少PTVは、最近の統合失調症エキソームメタ解析(SCHEMA、症例2万4248人および対照9万7322人)で関連が示された遺伝子の遺伝子内およびCHD8の結合標的に豊富に見られることが分かった。しかし、BDのゲノムワイド関連解析(GWAS)で関連が示された遺伝子では、超希少PTVが有意に豊富であるとはいえなかった。遺伝子レベルの解析結果をSCHEMAと組み合わせると、AKAP11が決定的なリスク遺伝子として現れた[オッズ比(OR)= 7.06、P = 2.83 × 10−9]。タンパク質レベルでは、AKAP-11は、BDの第一選択薬リチウムの標的と仮定されているGSK3Bと相互作用することが分かった。我々の結果は、BDが多遺伝子性であることを裏付けていて、BDの病因においてコード領域の希少なバリアントが重要なリスク要因であることを示している。