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自己免疫疾患:T細胞において調節配列の活性をかく乱する自己免疫疾患関連遺伝的バリアントの優先順位付け
Nature Genetics 54, 5 doi: 10.1038/s41588-022-01056-5
これまでのゲノムワイド関連解析(GWAS)で、何百もの自己免疫関連座位が明らかにされているが、それぞれの座位の中で原因となる遺伝的バリアントについては、ほとんど分かっていない。今回我々は、ハイスループットの対立遺伝子特異的レポーターアッセイを行い、5つの自己免疫疾患に対する疾患関連バリアントの優先順位付けを行った。対立遺伝子特異的レポーター発現を促進し、かつ接近可能なクロマチンに位置するバリアントを調べた後、統計的にファインマッピンする方法で調べることによって、原因と推定される60のバリアントが見つかった。これらのバリアントは、最大57.8倍豊富であることがファインマッピングにより分かった。優先順位の高いバリアント(rs72928038)を持つリスク対立遺伝子をヒトT細胞株へ導入したり、マウスでそのオルソログ配列を欠失させたりすると、どちらもBACH2の発現を低下させた。この欠失を持つマウスから採取したナイーブCD8 T細胞では、幹細胞的性質の活性化と維持を抑制する遺伝子の発現が低下しており、急性のウイルス感染時にエフェクターT細胞になる傾向が高かった。我々の結果は、バリアントを優先順位付けし、それらの生理学的に関連のある影響を研究するための効果的な方法の例を示すものである。