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糖尿病:2型糖尿病の複数祖先系集団の遺伝学研究で浮き彫りになった、発見とトランスレーションに対する多様集団の予測力
Nature Genetics 54, 5 doi: 10.1038/s41588-022-01058-3
今回我々は、DIAMANTE(Diabetes Meta-Analysis of Trans-Ethnic association studies)コンソーシアムを通じて、多様な祖先系にわたる2型糖尿病(T2D)のゲノムワイド関連解析(GWAS)データを収集した。これらは、T2D患者18万834人と対象群115万9055人(48.9%が非ヨーロッパ系)を対象にしている。複数祖先GWASメタ解析を行った結果、ゲノムワイドで厳格な有意性(P < 5 × 10−9)を満たす237の座位が見つかり、これらから338の異なる関連シグナルが示された。これらのシグナルのファインマッピングは、サンプルサイズの増加や複数祖先メタ解析の集団多様性の増加によって向上し、T2Dの関連の54.4%は50%を超える事後確率で単一バリアントに特定できた。この改良されたファインマッピングにより、原因遺伝子候補やT2Dとの関連を仲介する分子機構の体系的な評価が可能になり、機能研究のための基盤が作られた。複数祖先の遺伝的リスクスコアを用いることにより、さまざまな集団へのT2D予測の利用可能性が改善された。我々の研究は、遺伝的背景にかかわらず、全ての人々に対してグローバルヘルスの改善を目指して、T2D GWASをより効果的に臨床へトランスレーションするための一歩を進めるものである。