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DNAメチル化/神経発生:DNMT3Aの変性N末端ドメインはH2AK119ubを認識し、出生後の発生に必要である
Nature Genetics 54, 5 doi: 10.1038/s41588-022-01063-6
DNAメチルトランスフェラーゼ3a(DNMT3A)は哺乳類の発生に必須の役割を果たす。DNMT3Aの2つのアイソフォームは、幹細胞から体細胞組織に至る過程において異なる発現を示すが、それぞれのアイソフォームの機能は大部分が明らかにされていない。本研究は、短いアイソフォームであるDNMT3A2ではなく長いアイソフォームのDNMT3A1が、マウスの生後発生に必須であることを報告する。DNMT3A1は脳において、神経発生関連のバイバレント遺伝子に結合して調節する。驚くべきことに、Dnmt3a1ノックアウトによる周産期致死は、神経系でDNMT3A1を発現させることで部分的に回避された。また、DNMT3A1の天然変性N末端は、正常な発生と、DNMT3A1が豊富な領域のDNAメチル化に必要であることが示された。機序としては、N末端領域内のαヘリックス構造と推測される塩基配列に埋め込まれたユビキチン結合モチーフが、モノユビキチン化されたヒストンH2AK119に結合する。これはおそらく、DNMT3A1がポリコーム制御領域へと誘導されることを仲介している。以上の結果は、マウスの生後発生における、アイソフォーム特異的なDNMT3A1の役割を示し、N末端領域が、神経系におけるDNMT3A1のクロマチン占有と機能に必要な制御ドメインであることを明らかにした。