パパイアゲノム:パパイアのサンアップ品種とサンセット品種のゲノムからパーティクルガン法による形質転換の影響と栽培化の歴史が判明
Nature Genetics 54, 5 doi: 10.1038/s41588-022-01068-1
トランスジェニック・パパイアは、パパイアリングスポットウイルスの制御のために広く公開されている。しかし、パーティクルガン法によるトランスジェニックのゲノムへの影響は明らかにされていない。我々は、パパイアのトランスジェニック品種サンアップ(SunUp)とその親品種サンセット(Sunset)のゲノムを、それぞれ351.5 Mb、350.3 Mbの9本の染色体にアセンブリーした。その結果、サンアップの5番染色体に、1.64 Mbの挿入断片を検出した。この挿入断片には、3個のトランスジェニック挿入断片が含まれており、さらにそれに加えて、核ゲノム-色素体DNA断片(NUPT)52個、核ゲノム-ミトコンドリアDNA断片(NUMT)21個、および核ゲノム断片1個も組み込まれていた。5番染色体には591.9 kbの欠失があり、これが1.6 Mbの挿入断片に転位したことが分かった。我々は、9.8 MbのYh染色体雌雄同株特異的領域(HSY)とその領域に対応するX染色体の6.0 Mbの領域のいずれもを、ギャップなし配列でアセンブリーした。86のパパイアゲノムをリシークエンシングしたところ、3つのグループに分かれることが明らかとなり、それらの地理的起源と育種の歴史が検証できた。また栽培化の過程で生じた147か所の選択的スイープを検出し、栽培化の過程で起こったカロテノイドの蓄積にゼータカロテン・デサチュラーゼが非常に重要な役割を果たしたことを明らかにした。今回得られた知見により、パーティクルガン法によるトランスジェニックの影響が明らかになり、パパイアの品種改良の促進につながる性染色体および栽培化についての理解が進んだ。