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心疾患:上行大動脈径の遺伝率は高く、多様な祖先系の集団で胸部大動脈疾患を予測する

Nature Genetics 54, 6 doi: 10.1038/s41588-022-01070-7

大動脈の拡大は、大動脈瘤や大動脈解離の重要なリスク因子であり、先進国における罹患率の主要因である。今回我々は、英国バイオバンク登録者36,021人の心臓核磁気共鳴画像から、上行大動脈径の自動化抽出を行い、その後、ゲノムワイド関連解析を行った。その結果、心疾患発生やメンデル型の胸部大動脈疾患に関連する41の座位を見つけ、それぞれの主要なバリアントを特定した。これらには、心疾患発生に関連する遺伝子(HAND2TBX20)、メンデル型の胸部大動脈疾患に関連する遺伝子(ELNFBN1)が含まれる。多遺伝子スコアは、英国バイオバンク、FinnGen、the Penn Medicine Biobank、米国の退役軍人100万人プログラム(Million Veteran Program:MVP)の複数の祖先系にわたる被験者において、胸部大動脈瘤になる一般的なリスクと、胸部動脈瘤患者の外科的介入の必要性を有意に予測した。さらに、メンデルランダム化解析から、大動脈拡張の軽減には、血圧が主要な因果的役割を担っていることが明らかになった。まとめると、我々の知見は、人体構造の遺伝的決定因子を用いて心血管発達を理解し、胸部大動脈の疾患予測を改善するためのロードマップを提供する。

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