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髄膜腫:SMARCE1の欠損は明細胞髄膜腫における標的化可能なmSWI/SNF依存性を生み出す
Nature Genetics 54, 6 doi: 10.1038/s41588-022-01077-0
哺乳類のSWI/SNF(mSWI/SNF)ATP依存性クロマチンリモデリング複合体は、クロマチン接近性と遺伝子発現を確立し、がんで頻繁に不安定化している。明細胞髄膜腫(CCM)はどのタイプも、中枢神経系のアグレッシブな腫瘍であり、mSWI/SNFコアの不可欠なサブユニットであるSMARCE1の喪失により引き起こされる。今回我々は、カノニカルBAF(cBAF)複合体コア–ATPアーゼモジュール相互作用を選択的に安定化する上で、SMARCE1が構造的役割を担っていることを明らかにする。CCMではcBAF複合体がクロマチン上に安定化できないためにエンハンサーの接近性が低下し、残りのコアモジュール構成要素は、BRD9を含む非カノニカルBAF(ncBAF)複合体の形成を増加させる。cBAF機能の低下とncBAF複合体活性の上昇が組み合わさると、NF2変異型髄膜腫とは異なるCCM特異的な遺伝子発現シグネチャーが生成される。重要なことに、SMARCE1欠損細胞は、ncBAF複合体の小分子阻害に対する感受性の上昇を示した。これらのデータから、これまで不明だったSWI/SNFサブユニットの機能についての情報が得られ、難治性のSMARCE1欠損CCM腫瘍に対する治療法の候補が示唆された。