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乳がん:ゲノム解析により非浸潤性乳管がんと再発性浸潤性乳がんはクローン性の関係にあることが明らかになった
Nature Genetics 54, 6 doi: 10.1038/s41588-022-01082-3
非浸潤性乳管がん(DCIS)は、最もありふれたタイプの前浸潤性の乳がんだが、治療を行っても、DCIS患者の少数(5~10%)では浸潤性がんが発症する。この浸潤性のがんが、最初のDCISの腫瘍細胞から生じるのか、あるいは無関係の新しい腫瘍なのかどうかは、根本的な生物学課題である。我々はこの課題に取り組むために、95人の患者で、最初のDCIS病変とその対になる浸潤性再発腫瘍のゲノム解析を行った。また、一部の試料では一細胞DNA塩基配列決定も行った。我々のデータからは、75%の症例では、浸潤性再発腫瘍は最初のDCISとクローン性の関係にあることが明らかになり、腫瘍細胞は最初の治療中に除去されなかったことが示唆された。しかし意外にも、18%ではDCISとのクローン性の関係が見られず、新しい独立した細胞系譜であることを意味していた。また7%の症例では不明だった。この知見は、DCISの正確なリスク評価や、治療のデ・エスカレーション戦略、予測バイオマーカーの特定に不可欠である。