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腎疾患:エピゲノムおよびトランスクリプトームの解析から、腎疾患の中心的な細胞タイプ、遺伝子、標的可能な機構が明らかになる

Nature Genetics 54, 7 doi: 10.1038/s41588-022-01097-w

8億人以上が腎疾患を罹患しているが、腎機能が障害される機構はよく分かっていない。本研究では、150万人において腎機能の遺伝的関連を明らかにし、878(新規126)座位を特定した。443の腎臓のメチローム、686のトランスクリプトーム試料、5万7229の腎細胞の一細胞オープンクロマチンに対して、遺伝子型の及ぼす影響をマッピングした。遺伝率解析から、メチル化の変動のほうが遺伝子発現よりも遺伝率をより多く説明できることが明らかになった。本論文では多段階の優先順位付け戦略を示し、腎機能座位の87%について標的遺伝子の優先順位付けを行った。また腎機能調節における近位尿細管と代謝の重要な役割が明らかになった。さらに、Slc47a1の遺伝的欠損マウス、および機能喪失バリアントを持つ人の解析から、SLC47A1が腎疾患の原因となる役割を持つことが分かった。我々の知見は、ゲノムワイド関連解析から、原因遺伝子、細胞起源、複雑形質の機構の特定にトランスレーションする際に、細胞集団および一細胞のエピゲノム情報が重要な役割を担っていることを明らかにしている。

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